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綺月 陣 『スイートホーム―友情があって愛に成る』

綺月先生の『スイートホーム―友情があって愛に成る』の感想。これは初出です。

スイートホーム―友情があって愛に成る (プラチナ文庫)スイートホーム―友情があって愛に成る (プラチナ文庫)
(2006/11)
綺月 陣

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碧は雑誌に載る程の人気シェフだが、鈍感な『親友』の遼平を餌付けするのに必死。なのに彼に彼女との結婚話を告げられ、愕然。あんなに色々喰わせたのに「一番美味いよ」って言ったのに!!彼は自分のものにはならない。傷心の碧は酒に溺れ、何も知らない遼平に窘められるが、もう素直に聞けない。ヤケクソで彼の指に舌を這わせ、高ぶり濡れる己に、思わせぶりに手を伸ばした。初めて見る友の姿に呆然の彼を、妖艶な笑みで眺めながら...。壊せない友情と切ない恋情にゆれて(裏表紙あらすじ)。

シェフを主人公にしたBL小説って結構多いですよね?やっぱり恋愛と食事は相通じるものがあるからでしょうか。
大河内遼平(リーマン)×秋元碧(イタリアンシェフ)
キーワードは、餌付けと純愛です。↑のあらすじはあまり内容を言いえているようには思えませんね~。なんかニュアンスが違う。
以下、ネタバレありです。
碧のいじらしさ・健気さがたまりません。彼の想いが切な過ぎて、途中何度も泣けてきました。碧、遼平、小熊(通称テディ)は、高校時代からの親友仲間。碧は高校時代から10年間ずっと変わることなく遼平に想いを寄せてきました。

碧の尽くしぶり・遼平至上主義が凄いです。料理一家に生まれた碧は、高校時代の遼平の一言によりイタリアンシェフになり、遼平の側で彼を支えたいと彼の会社の近くに店を構える。そして、仕事で終電を頻繁に逃す遼平をマンションに泊めてやり、まるで母親か女房のように甲斐甲斐しく世話を焼く。愛情たっぷりの食事(愛妻?弁当込み)はもちろん、洗濯、爪切り、耳垢掃除まで。遼平への恋が決して叶うことがないと諦めている碧にとって、遼平の世話を焼くことが最大の喜びなんですよね。そんな風に中身はいじらしく、可愛い乙女仕様なのに、かなり口が悪くて、「べらんめえ」口調なのが笑えます。とにかく碧の生活や人生設計は、すべて遼平を中心になされているんです。ここまでくると妄執のレベルです。そして、時にその妄執ゆえに暴走もしてくれます。それなのに~

遼平は全く碧の想いに気付いていません。遼平、鈍すぎです!究極の鈍感男。あの~、どう考えてもただの友達が下着の洗濯とか爪きりとかしてくれないと思うんですが…。しかも碧は遼平の毎日世話を焼くために彼を同居までさせるんですよ!なのに、彼女に二人の関係の異常さを指摘されるまで自分と遼平の関係の在り方について考えたこともなく、二人の関係を「親友として自然な在り方」だと思っていたんですからねぇ。「もう結婚しているようなものじゃない、碧さんと!」全くです。彼女からすれば、どう見ても異常だし、嫉妬しても当然だろうなあ。この彼女は嫉妬をあらわにしたことで、墓穴を掘るのですけど。

さて、片思いの切なさ・辛さを一時でも忘れるために、親友のテディや碧をカリスマシェフとして売り出した出版社の社長(ちょっと鬼畜)に抱かれる碧。かなりドロドロの四角関係!碧は他の男とセックスし、自分が遼平に相応しくない穢れた存在であると確認することによって精神の安定を図っているのです。そんな碧でしたが、遼平に結婚話が出てきて、遼平の側に自分の居場所がなくなるのだという事実を突きつけられると、どんどん壊れていきます。碧の姿が自虐的すぎて痛々しい。さらに、テディと寝ている現場を遼平に見られて、事態はますます泥沼化。もう修羅場です。この時、遼平は碧を殴るんですが(いや、先に殴ったのは碧なんですけどね)、思わず「あんたに殴る資格はない~!」と叫びそうになりましたよww読者は不公平なのです。  

結局、遼平は、彼女の嫉妬や上司の指摘やテディの後押しなど複合的な事情からようやく碧の愛情と自分の奥底にあった「ずっと碧に世話を焼かれていたい」という気持ちに気付くのですが、ここに至るまでの碧の苦しみや葛藤を思うとホント、切なくなりますね。度を越した鈍感さって残酷ですよ!遼平には長い間苦しめた分を補って余りある位の愛情を碧に注いであげて欲しいと思いました。

何だか遼平の非難レビューとなりましたが、誤解のないように申し上げておきます。当方、ヘタレ攻め推奨派です。できの悪い子ほど可愛いというやつです。

全体に「食」が「愛」と上手く絡み、テーマが一貫していて読みやすいお話でした。思いが通じ合うラストで遼平が言った「いま現在の俺の肉体は、お前が作ったようなものだろ?」という言葉にああなるほど、と。誰かのために食事を作るって、相手の血肉を造り、相手の存在を根本から支える営みなんですよね。そう考えると、「餌付け」って相手を究極に独占する行為なんだなあと思いました。
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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

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