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スターズオンアイスとジョニー・ウィアー

一昨日、次のような記事が出ました。

アイスショー「出演拒否」のJ・ウィアー、自身でショー開催へ

内容は、ジョニー・ウィアーが「家族向けではない」ことを理由にスターズオンアイスへの出演を拒絶されていると語っていること、そして、「中傷と戦うゲイとレズビアンの同盟(GLAAD)」は、ジョニーが同性愛者と判断され、出演を拒否されているとして、抗議活動に乗り出したということ。

元の記事は↓。
Ice tour denies snubbing Johnny Weir over sexual orientation

自身のアイスショーを予定しているというのは間違いです。出来たらいいな、と言ってるだけ。全体のニュアンスとしては、不満を表明しているというよりは、出られなくて残念だ、自分はアメリカ、世界中にファンがいるから、自分を招いてくれたら売り上げに貢献するよ、とアピールしている感じでしょうか。

問題の背景については↓の記事が分かりやすく解説してくれています。
http://outsports.com/jocktalkblog/2010/03/13/republicans-rampant-at-stars-on-ice/#more-10916

スターズオンアイスの発起人であるスコット・ハミルトン氏がopenly homophobicであること、さらに保守的な企業、smucker'sがスポンサーになったことを問題の背景として説明していますね。特に後者は、スターズオンアイスが保守化する大きな契機であったとしています。ここでの保守化というのは、「男は男らしくあるべき」という方向性を意味するようです。記事は、今年のスターズオンアイスの男性出演者が皆「男らしい外見」であるとし、ジョニーの「性志向」とともに「女性的な外見や仕草」を問題の核心に挙げています。

一つ補足しておくと、ジョニーは、自らの性志向についてはプライベートな事柄として明言を避けています。ですから、smucker'sが(GLAADもですが)ジョニーをゲイだとみなしているならば、それはあくまでも推測の域を出ないということです。彼の外見やファッション、スケーティング、仕草が「男らしくない」故に「ゲイではないか」と推測されているんだろうと思われます。 

smucker'sは共和党に多大な政治献金をしており、smucker'sのCEOである Tim Smucker氏は共和党の代議員であるとのこと。もちろん共和党支持者がすべて同性愛反対の立場をとるというわけではありませんが、全体的にはキリスト教右派の影響から同性愛を罪悪視する人が多いと思われます。

こういう嫌悪感というのは、キリスト教文化圏で育っていない私には全く分かりません。むしろ日本では萌…。いや、それはおいといて。もちろん日本でも嫌悪感を抱く人たちはいますけど、思想的には「あるがまま」の在り方を肯定する傾向は実はアメリカよりも強いのではないかと。

そもそもアメリカの保守層の倫理は、正直、我々日本人の了解の範疇を超えるものがあると思います。確かに彼らが掲げている教理に基づく指針には、禁欲や自分の罪を凝視する生き方など尊敬できる点もあります(私はあんなに自分に対して厳しく向き合えないし)。ただ自らの価値観を絶対的なものとし、そこから逸脱するものを排斥する方向へと進むと、それは狂信でしかないのでは、と言いたくなりますね。向こうの徹底したホモフォビアって、何か集団ヒステリーか社会病理にしか見えない。昔の異端審問を思わせます。

ところで、私はsmucker'sと共和党の関係について書かれた部分を読んだとき、もしかしたら問題は性志向に関する部分だけではないのでは、と思いました。ジョニーは、以前、ブッシュ前大統領をヒットラーと同一視するなどブッシュ政権をかなり辛らつに批判し(スゴイ!)、共和党支持者からバッシングを受けていました。このことを考慮に入れるならば、ジョニーが「男らしくなく」「ゲイっぽく見える」というセクシャルな事柄とともに、彼の政治に関するスタンスに対してもsmucker'sは反感を持っているんじゃないか、と想像してしまうんです。あくまでも想像ですけど。

スターズオンアイス側は、ジョニーを招聘しないことについて特別な思惑はないと言ってるようですが、ジョニーは重要な国際舞台(つまりオリンピック、ワールド)でのメダルはワールドの銅一つではあるけれど、全米で三連覇を果たし、オリンピックで二回入賞していて、実績は十分ありますし、またショーでジョニーを観たいと望む多くのアメリカ人ファンがいます。にもかかわらず、ジョニーを一度も招聘していないのは、ジョニー個人に対して何らかの思惑があるとしか思えないんですよね。

仮に性志向であれ、政治観であれ、プライベートなものとパフォーマンスを切り離して考え、純粋に実績と人気(集客力)を考慮して選択するのが妥当ではないかと思います。ショーを見たいと望んでいる人全てが保守的な考えではないでしょうし、様々なタイプの人間に開かれたショーであって欲しいです。

まあ実のところ保守的なスポンサーによってがんじがらめのショーに出るのはジョニーにとって本当に良いことなのだろうか、と思わなくもないんですが。本当は、ジョニーのキャラを認めてくれるリベラルなスポンサーによるショーがあれば一番いいんですけどね。昔のチャンピョンズオンアイスのように。不景気だから難しいかなあ。

結局、スターズオンアイスがアメリカ唯一のショーである以上、スケーターが稼ぐには(この点は経済状況が苦しいジョニーにとって死活問題)、そして、アメリカのファンに自分のスケートを見せるには、これに呼んでもらうしかないんですよね。だからジョニーもショーに出られなくて残念、と示唆しているのだと思います。

そういうわけで、今、ジョニーのファンがスターズオンアイスに参加させて、という署名運動がなされています。一応参照ページを貼っておきますね。関心のある方はどうぞ。
http://japanesejohnnysangels.com/viewtopic.php?f=9&t=4774&p=12377&sid=93eca0965875034d66aebe63967f84ee#p12377

一万人分の署名が集まったところで提出するのだそうです。

追記
上でかなり批判的なことを書きましたが、スターズオンアイス自体を否定する意図はありません。フィギュアスケートの一ファンとして、興行が成功することを願っています。ただもしジョニーが何らかの個人的な理由により、活躍の舞台を機会を奪われているならば、それは非常に悲しいことだと言いたかっただけです。

拍手へのお礼
ちよこさん、拍手ありがとうございました。お礼が遅くなって申し訳ありません。ジョニーの動画、めっちゃ可愛いですよね~。最近は、ニコニコにたくさん動画が追加されて、無限ループから抜け出せず…。どっぷりはまってもはや中毒です。
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テーマ : フィギュアスケート - ジャンル : スポーツ

コメント

為になる情報

エレニ様、
スターズ・オン・アイスとsmucker'sのことかなり調べられたんですね。
とても勉強になりました。
私もジョニーを通して、自分の世界観も広がって行くのを実感しています。
しかしその後、はじかれたジョニーは若手スケーターを結集して米国のどこか(北部の方の州)で4月1日から自分たちのスケート・ショーを開催するそうですね。
ほんと話題に事欠かない御仁です。「BAD ROMANCE」の演技を披露してくれるそうですが、そういう反骨精神的なところ、大いに興味を引きます。

それから「拍手」のところにもコメント残しましたが、私の方のブログに先日お越しいただいたお礼をアップしております。ちょっとチェックしてみてくださいネ。

Re: 為になる情報

Ethie様、こんばんは。拍手およびコメント、ありがとうございます!

ジョニーは、本当に世界観を広げてくれますよね。私は今回のスターズオンアイスをめぐる騒動を通じて、アメリカの文化や風土に対する関心が強まりました。母国でどれだけ批判を受けても、「自分らしさ」を貫こうとする彼の反骨精神にはとても魅かれます。

4月のショーは、イリノイ州で開催されるicedreamsですね。
http://www.icedreams2010.com/
また映像がupされるかもしれないですね。

その後は、ヨーロッパでプルシェンコ達とツアーをやり、日本にも来るそうで(まだ詳細は分かりませんが)、今から楽しみです。
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