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羅川真里茂 『ニューヨーク・ニューヨーク』読了

先日、待ちに待っていた『ニューヨーク・ニューヨーク』全4巻が届きました。で、仕事の締め切りが迫っていたにもかかわらず数時間で読了。夜中、感動のあまり泣きじゃくり、幾度もティッシュのお世話になりました。 

『ニューヨーク・ニューヨーク』は、アメリカにおけるゲイの現実を調べたうえで、彼らが置かれた状況や彼らが抱える問題をできるかぎりリアルに表現しようとし、人間にとっての真の幸福、愛とは何かを突き詰めて描いています。現実を直視するという意味でこの作品は、しばしば現実と乖離したファンタジー的な側面を持つと評されるBLの範疇には収まらないとも言えるのかもしれません(私はそうしたカテゴライズにそれほど意味を見出さないのですが)。ともかく結婚・家族の在り方や人間の持つ暴力性と赦しなど実に様々な問題提起がなされた意義深い作品だと思います。
以下、ちょっと真面目な話。
『ニューヨーク・ニューヨーク』を読もうと思ったのは、BLレビューサイト、ちるちる様に投稿されていたレビューで「真摯にゲイであることに向き合っている」とあり、興味を魅かれたから、また欧米の同性愛の在り方に多少なりとも関心があったからです。ちょっと前に、『キリスト教は同性愛を受け入れられるか』と題された本を読む機会がありました。これは、「キリスト教教会が同性愛者にどのように対峙していくべきか」について、擁護派、否定派双方の立場に立つ論者の論稿を編集したもので、聖書学・教義学的観点からだけでなく、生物学や心理学、社会学的等様々な観点から論じられています。そこでキリスト教文化圏、とくにアメリカにおける同性愛者が抱える葛藤・抑圧感や彼らが周囲から受ける差別・敵意について知ることとなりました。このあたりは、『ニューヨーク・ニューヨーク』においても、リアルに描かれていますね。

「同性愛にどう向き合うか」というキリスト教教会・社会が抱える問題は、結局のところ、人間は自分達の価値基準から外れた「異質性」をどのように受け入れるのか、そもそも受け入れることができるのか、という問題に帰着するように思われます。そして、異質性への差別は、特に宗教が絡むと、特定の価値基準が絶対化されることで、先鋭化する傾向があるように思います。

『ニューヨーク・ニューヨーク』に話を戻すと、この作品では主人公の周囲の人々が、彼がゲイであるという事実をどのように受け入れていくのか、さらには主人公が周囲と異質である自己をどのように受け入れていくのか、という過程が丁寧な心理描写によって描きこまれています。私にとって印象深かったのは、主人公の母親でした。敬虔なクリスチャンであり、同性愛を罪悪と考え、息子とその恋人の関係を受け入れられなかった彼女ですが、周囲の助言もあり、徐々に彼らの関係を受け入れ、最終的には一番の理解者となります。すでに確立された自分の価値基準を変えることは、大変エネルギーのいることだと思います。そのあたりの彼女の葛藤が深く描かれていて、とても感銘を受けました。

徐々に1巻から順にレビューを載せていきたいと思います。思い入れの深い作品はレビューが書きにくいので、時間がかかるとは思いますが…。
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テーマ : ボーイズラブ - ジャンル : 本・雑誌

コメント

初めまして☆

エレニさん、初めまして☆
レイと申します。まひるさんのページにリンク張ってあったので飛んで来てしまいました(笑)
私も学生の頃にニューヨークニューヨークを読んだ事があります。当時は「赤ちゃんとボク」を描かれて居た羅川さんだったのでまさか、ゲイの話を描くなんて・・・と衝撃を受けて読んでました。懐かしいなぁ・・・と思いコメントさせて頂きました。非常に奥が深い作品で当時何度か繰り返して読んでたんですが・・・本当に懐かしいです。この作品、BL苦手な人も結構読んでたんですよねぇ。話題作だったので・・・。良い作品はいつになっても愛読されるんですよね☆今度、この漫画に関してレビューを書くと記事に書いてあったので、とても楽しみにしております。

Re: 初めまして☆

レイさん、こんにちは。コメントありがとうございます!とっても嬉しいですi-179
レイさんが仰るとおり、羅川さんって「赤ちゃんとボク」のイメージが強かったので、その羅川さんがゲイの話を書かれてるんだ、と知ったときは私も驚きが大きかったです。
この作品、BLが苦手な方や男性の方も結構読んでおられるんですよね。良い作品は、テーマに関わらず幅広い読者層に共感されるんだなあと思います。 本当に奥の深い不朽の名作ですね。主人公カップルが色々な困難を乗り越えて絆を深めていく姿がリアルに、でも優しい視点で描きこまれていて、愛って何だろうとか、人間の幸せって何だろうとか普遍的な問いを投げかけてくれるところに、強く心を打たれたり、考えさせられたりします。
思い入れが強すぎて、なかなか感想が纏まらないのですが、またアップできたら、読んでやってくださいませ。
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